新井紀子著『数学は言葉』(2009)

数学は言葉―math stories

数学は言葉―math stories

英語を勉強したときのように数学を勉強してみませんか. 数学は言葉です.5000年にわたる不変不朽の世界共通の言葉です. ただ,ものすごくコンパクトに圧縮されているために読み解くのが困難なのです. まずは,数学語を和文に翻訳してみましょう. それができたら和文を数学語にしてみましょう. 気がつけば,あなたはきっと論理的に考えられる人になっているはず. そして,あんなに苦手だった証明問題が苦にならなくなっているはず.

math stories刊行にあたって
はじめに

CHAPTER 1 定義とは何か
1.1 論理の誕生
1.2 どう定義すべきか
1.3 数学の辞書

COLUMN 数学と言葉 野崎昭弘

CHAPTER 2 数学の文法
2.1 命題の対象
2.2 性質の表現
2.3 数学の接続詞

CHAPTER 3 和文数訳
3.1 数訳のコツ
3.2 論理結合子の解釈
3.2.1 場合に分ける:「または」
3.2.2 箇条書きでまとめる:「かつ」
3.2.3 反対の反対は賛成:「否定」
3.2.4 前提と結論をつなぐ:「ならば」
3.2.5 置き換えと変形:「同値」
3.2.6 変数を扱う:「すべて」と「ある」
3.3 論理記号の規則
3.3.1 交換法則・結合法則・分配法則
3.3.2 対偶
3.3.3 ド=モルガンの法則

CHAPTER 4 数文和訳
4.1 なぜ数学教科書の日本語は難解か
4.2 グラフのちがいを数文で表現する
4.3 イプシロン-デルタ論法
4.4 微妙な差異を読み解く
4.5 数訳の困難

CHAPTER 5 かたちから言葉を見る(影浦 峡)
5.1 文のかたちに訴えるとき
5.2 コンピュータが言葉を使う
5.3 かたちを追究すると・・・・・・
5.4 それでもできないこと
5.4.1 情報の入れ込み方・慣用
5.4.2 状況や文脈に依存した表現
5.4.3 言葉はモノでもある
5.4.4 とても複雑な文
5.5 ところで人間は,といえば・・・・・・

CHAPTER 6 証明とは何か
6.1 見ること,わかること.
6.2 事実と証明
6.3 証明の形式

CHAPTER 7 数学の作文
7.1 集合と論理
7.2 証明を書いてみよう
7.3 数学的帰納法
7.4 「補題」はなぜ必要なのか

CHAPTER 8 終章-ふたたび古代ギリシャ

陳怡禎著『台湾ジャニーズファン研究』(2014)

台湾ジャニーズファン研究 (青弓社ライブラリー)

台湾ジャニーズファン研究 (青弓社ライブラリー)

台湾の哈日族などの基礎知識を押さえたうえで、女性ファンへのインタビューからジャニファンの活動やコミュニケーションの具体を明らかにする。ファンがアイドルを介して女性同士の友情や親密圏をどう構築するかをフィールドワークから照らすファン文化論。

序章 「哈日」する台湾女性
第1章 台湾のファン文化
 1 台湾でのアイドル消費の前史
 2 台湾のジャニーズブームの実像
 3 台湾におけるほかのファン文化の考察
第2章 ジャニーズファンの日常
 1 時間軸から見るジャニーズファンの日常
 2 空間軸から見るジャニーズファンの日常
 3 社会的関係の軸から見るジャニーズファンの日常
第3章 ファンたちが求めるジャニーズアイドルの関係性構図
 1 「異性」のアイドルへの非性的な見方――ジャニーズアイドルはかわいい
 2 ジャニーズアイドルに求める「仲の良さ」――ジャニーズアイドルを通して構築する友情の構図
 3 友情の延長線にあるアイドルのカップリングゲーム――「J禁」から見るファンによる関係性の構築と消費
第4章 ファン同士の関係性――女性たちの友情の求め方
 1 ファンコミュニティーの形成――同担の集結
 2 変容していく女性の親密圏
第5章 男性アイドルの「友情」を媒介につながる女性たち
あとがき

11, 25 岩渕『トランスナショナル・ジャパンーアジアをつなぐポピュラー文化』

21, 30 河津
『彼女たちの「Sex and the city」ー海外ドラマ視聴のエスノグラフィ』
彼女たちの『Sex and the City』―海外ドラマ視聴のエスノグラフィ

彼女たちの『Sex and the City』―海外ドラマ視聴のエスノグラフィ

22 辻「ポピュラー文化の危機」宮台『21世紀の現実ー社会学の挑戦』
52 辻「関係性の楽園/地獄ージャニーズ系アイドルをめぐるファンたちのコミュニケーション」東『それぞれのファン研究』
それぞれのファン研究―I am a fan (ポップカルチュア選書「レッセーの荒野」)

それぞれのファン研究―I am a fan (ポップカルチュア選書「レッセーの荒野」)

115 小椋『スポーツファンの社会学
スポーツファンの社会学 (SEKAISHISO SEMINAR)

スポーツファンの社会学 (SEKAISHISO SEMINAR)

モーゼス・フィンリー著『オデュッセウスの世界』(1954→78=94)

オデュッセウスの世界 (岩波文庫)

オデュッセウスの世界 (岩波文庫)

イギリスの歴史家フィンリー(1912‐86)の、明快で読みものとしても楽しめるギリシア古代史入門。社会学、人類学の成果を踏まえ、二大叙事詩イリアス』『オデュッセイア』を詳細に読みこむことによって、ギリシア古代がどのような社会であったかを説き明かし、新しいホメロス学の方法を提起したものとして大きな反響を呼んだ。

第1章 ホメロスギリシア
第2章 吟唱詩人と英雄たち
第3章 富と労働
第4章 家庭・親族および共同体
第5章 道徳と価値
補遺1 『オデュッセウスの世界』再見
補遺2 シュリーマントロイア―百年を経て

見田宗介著『現代社会はどこに向かうか−高原の見晴らしを切り開くこと』(2018)

曲がり角に立つ現代社会は、そして人間の精神は、今後どのような方向に向かうだろうか。私たちはこの後の時代の見晴らしを、どのように切り開くことができるだろうか。斬新な理論構築と、新たなデータに基づく徹底した分析のもとに、巨大な問いに改めて正面から応答する。前著から約十年、いま、新しい時代を告げる。

はじめに
序章 現代社会はどこに向かうか――高原の見晴らしを切り開くこと
 1 未来の消失? 現代の矛盾
 2 生命曲線/歴史曲線.「現代」とはどういう時代か
 3 グローバル・システムの危機.あるいは球の幾何学――情報化/消費化社会の臨界
 4 世界の無限/世界の有限.軸の時代Ⅰ/軸の時代Ⅱ
 5 高原の見晴らしを切り開くこと
一章 脱高度成長期の精神変容――近代の矛盾の「解凍」
 1 脱高度成長期の精神変容.データと方法
 2 「近代家族」のシステム解体
 3 経済成長課題の完了.「保守化」
 4 魔術の再生.近代合理主義の外部に向かう触手たち
 5 〈自由〉〈平等〉対〈合理性〉.合理化圧力の解除,あるいは減圧
 6 近代の理念と原則の矛盾.封印と「解凍」.高原展望
 補1 合理性,非合理性,メタ合理性
 補2 生活スタイル,ファッション,消費行動――「選ばれた者」から「選ぶ者」へ
二章 ヨーロッパとアメリカの青年の変化
 1 ヨーロッパ価値観調査/世界価値観調査.データと方法
 2 幸福の高原と波乱
 3 「脱物質主義」
 4 共存の地平の模索
 5 共存の環としての仕事
 補 〈単純な至福〉
三章 ダニエルの問いの円環――歴史の二つの曲がり角
四章 生きるリアリティの解体と再生
五章 ロジスティック曲線について
 1 グローバリゼーションという前提――人間にとってのロジスティック曲線1
 2 一個体当たり資源消費量,環境破壊量の増大による加速化――人間にとってのロジスティック曲線2
 3 テ クノロジーによる環境容量の変更.弾力帯.「リスク社会」化.不可能性と不必要性――人間にとってのロジスティック曲線3
六章 高原の見晴らしを切り開くこと
 1 総理の不幸
 2 フリュギアの王
 3 三千年の夢と朝の光景
 補 欲望の相乗性
補章 世界を変える二つの方法
 1 ベルリンの壁.自由と魅力性による勝利.
 2 二〇世紀型革命の破綻から何を学ぶか.卵を内側から破る.
 3 胚芽をつくる.肯定する革命 positive radicalism.
 4 連鎖反応という力.一華開いて世界起こる.
あとがき

ジョン・スラデック著, 柳下毅一郎訳『ロデリック(または若き機械の教育)』(1980=2016)

捨てられてしまった幼いロボット「ロデリック」の冒険を描く、スラップスティックなコミック・ノベル! 20世紀最後の天才作家スラデックが遺した、究極のロボットSFがついに邦訳。

中室牧子,津村友介著『原因と結果の経済学−データから真実を見抜く思考法』(2017)

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

メタボ健診を受けていれば長生きできる、テレビを見せる子どもの学力が下がる、偏差値の高い大学へ行けば収入が上がる。そう言われて、否定する人はほとんどいないだろう。しかし、経済学の有力な研究はこれらをすべて否定している。本書で紹介する「因果関係を証明する方法」がわかれば、「根拠のない通説」にだまされなくなる。

第1章 根拠のない通説にだまされないために―「因果推論」の根底にある考えかた
第2章 メタボ健診を受けていれば長生きできるのか―因果推論の理想形「ランダム化比較試験」
第3章 男性医師は女性医師より優れているのか―たまたま起きた実験のような状況を利用する「自然実験」
第4章 認可保育所を増やせば母親は就業するのか―「トレンド」を取り除く「差の差分析」
第5章 テレビを見せると子どもの学力は下がるのか―第3の変数を利用する「操作変数法」
第6章 勉強ができる友人と付き合うと学力は上がるのか―「ジャンプ」に注目する「回帰不連続デザイン」
第7章 偏差値の高い大学に行けば収入は上がるのか―似た者同士の組み合わせを作る「マッチング法」
第8章 ありもののデータを分析しやすい「回帰分析」

長谷部恭男著『憲法学のフロンティア』(1999)

憲法学のフロンティア

憲法学のフロンティア

人権、公共の福祉、主権といった、憲法に登場する基本概念はそもそも何のためにあるのか。放送の自由やプライヴァシー権など現代社会で生まれた新しい問題の探求を通じて、いま、憲法について根底から考える。

第1章 リベラル・デモクラシーの基底にあるもの
第2章 個人の自律と平等
第3章 信教の自由と政教分離
第4章 「二重の基準論」と司法権の役割
第5章 主権概念を超えて?
第6章 プライヴァシーについて
第7章 行政情報の公開と知る権利
第8章 多チャンネル化と放送の自由
第9章 メディア・モデルの探究と溶解

88 (憲法制定権力について)「杉原泰雄教授の主権理論では、そのような無毒化の方向が図られているかに見える。教授は憲法制定権力は、法外の現象であり、主権をそのような制憲論と同一視するのは、実弟憲法上、主権者たる国民を主権者たる地位から追放することを可能とするとして批判する。主権原理は、あくまで国家権力の法的帰属の問題である。そして、教授の理論では、人民、具体的には選挙民を主権者とする直接民主制の正当性とその将来における実現可能性が、社会・経済的な構造の分析にもとづいて提唱されている」
88 杉原『国民主権の研究』(1971)

89「逆に言えば、この杉原教授の基本的なプログラム(主権概念の歴史的解釈)に同意しえない者にとっては、簡単に、主権概念を安全な解釈論上の道具として取り扱うことはできないはずである。たとえば、辻村みよ子教授は、史的唯物論は杉原教授のプログラムに固有のものであり、人民主権論一般が前提するものではないと指摘するが、だとすれば、人民主権という観念を解釈論上用いることには、さらに細心の注意が要求されることになるであろう」